美術文化法について
私は、岡田茂吉美術文化財団の美術文化インストラクターをしている
宮本 美保です。少し、「美術文化法」についてご紹介します。
あまり聞き慣れない言葉なので、初めて「美術文化法」って聞くと、何かの法律かなあ、なんて思ってしまうかもしれません。
でも法律ではありません。美術や伝統文化や自然そのものを楽しむ心や作法、ちょっとした技なんかを生活に取り入れる考え方や方法のことです。
例えば、私は、光輪花クラブというお花の教室のインストラクターをしていますが、そこでは、お花の見方やいけ方、楽しみ方を、実際にお花をいけながら学んでいます。
私が教室の時に気をつけるのは、やはり、生命力のある季節のお花を中心にした花材選びです。時には、野山で採ってきた花材や庭木を剪定したときの枝なども利用することがあります。
いける時には、その用意した花材の中から、生徒さんと一緒に花を選びますが、いいなと思ったお花を手にとって、花びらや葉っぱ、茎など、全体を良く見ます。すると、お花が、単なる飾り道具ではなくて、自然が作り出した命ある芸術品だと思えて、一本一本を大切にいけようという気持ちになります。
そのように思えた花を気に入った花器にいけてあげると、すばらしいいけ花になります。例えば、そのようにいけ花を生徒さんと楽しんでいます。
世界中には、自然の美、人が作り出した美が数えきれないほどありますが、どちらも人の心を豊かにしてくれる、とても尊い存在だと実感しています。その意味で、いけ花というのは、人と自然の共同作業によって作られる美を、気軽に、色々な所で楽しむことができるすばらしい方法の一つだと思います。
この他にも、茶の湯、美術品鑑賞、自然散策など、色々な方法で美や芸術を楽しみながら、日常生活の中で活用できるような工夫をしています。それが、美術文化法の基本的な考え方です。
このように、ささやかなことではありますが、ちょっとした美の活用が、おどろくほど生活を豊かにしてくれます。私は、美を通して、一人でも多くの人が、楽しく、幸せになってもらえればと思っています。